山形 イン ア ポチ
「松島は笑ふが如く、象潟はうらむがごとし。寂しさに悲しみをくはえて、地勢魂をなやますに似たり。」
事は分からないけれど、運命に翻弄された女性「西施」の悲劇。ポチはのたりと鮭川に立っていたものだ。
藁科を離れてたった三日目。芭蕉ならぬ馬笑は美しい川・・「鮭川」で「地勢魂をなやます」であった。
「西施」は越の王、勾践の愛妾でその美しさのあまり運命に翻弄され、やがては死に至る。
「象潟や
雨に西施がねぶのはな」 「ねぶの花」・・「合歓の花」
藁科や 雨に西施がねぶの花 ・・かな、と、詠んだものである。
さて、・・・・
山形の川は鮎が豊富にいたものだ。水平なる稲穂の田は豊穣であったし、人の手の入らない山々は恵みの予感すらしたものだった。ここは、雪の厳しさにも耐えられるすべてが豊かな郷(国)なのであろう。
藁科の鮎は「西施」が如く、である。
藁科では、血のような彼岸花が咲いている。稲穂の黄色に降り注いだように咲いている。分け入ると、「西施」のいる川があり、ポチは運命ではない宿命のような気がしたものだった。ぬらりと入った。